西京味噌に漬け込む
「西京味噌」と呼ばれる京都の白味噌を使って作られる「西京漬け」。
古くは平安時代頃から、身分の高い人が食べられる保存食も兼ねた高級食品であったと言われていますが、現在はスーパーなどでも手軽に購入することができる京都の伝統料理です。
西京漬を焼いたものが西京焼きと呼ばれ、香ばしい味噌の香りと、旨味が凝縮された味わいは「漬け込む」という一手間があってこそ生まれます。
では、西京漬けはなぜただ味噌に漬け込むだけでこれほどまでの美味しさが生まれるのでしょうか?
西京味噌が美味しさの秘密
西京漬けが美味しくなる一番の秘訣は「西京味噌」にあります。最初にも述べた通り、西京味噌とは京都の白味噌ですが、京都の白味噌ならば全て西京味噌というわけではありません。
現在、商品名として「西京味噌」と名乗って良いものは、京都府味噌工業組合に認定されたもののみに限られており、京都府内で組合が認定している原料を使用して生産しているものでなければならないと定義されています。
西京味噌は、通常の味噌と同様に米麹に大豆、塩を原料として作られます。特に西京味噌は米麹の量が多く、塩分濃度が低いという特徴があります。そのため、西京味噌の味は、一般的な味噌よりも甘みが強く、しょっぱさが少なく感じられます。
上品な甘みとコクが感じられる西京漬けですが、西京漬けならではの美味しさを生み出しているのは、やはり他ならぬ「西京味噌」の特性によるものといえるのです。もちろん、西京味噌ではない通常の味噌や、白味噌でも、魚や肉を漬けて楽しむことはできます。
しかしその場合は、西京漬けのような甘みは少なくなる場合が多いです。京都の伝統料理として上品な甘さとコクが魅力の西京漬けですが、実は栄養価にも優れた食品であることはあまり知られていません。
味噌に使われる大豆は、栄養価が高いことは多くの人が知っているかと思いますが、大豆を味噌として加工することは、大豆の成分を米麹の発酵・酵素作用が分解し、新たな栄養素を生み出す効果があります。しかもその栄養素は消化吸収されやすい形になっているのです。